第107回実践② 薬剤師 問272
65 歳男性。身長 160 cm、体重 58 kg。開胸心血管バイパス術施行後 4 日目 に 38.5 ℃の発熱を来し、喀痰、血液培養、尿、鼻汁を用いたグラム染色の結果、 陽性であった。細菌培養の結果が得られるまで 48 時間程度を要することから、院 内感染制御チームへのコンサルトの結果、MRSA 感染症を疑い、当日夜よりバン コマイシン点滴静注用の 14 日間投与が決定された。バンコマイシン投与前の検査 値を以下に示す。 (検査値) 白血球数 13,000/nL、CRP 7.5 mg/dL、血清クレアチニン値 1.2 mg/dL、 BUN 17.6 mg/dL、クレアチニンクリアランス(Ccr)50 mL/min バンコマイシンの投与量決定には母集団薬物動態解析により得られた以下のパラ メータを用いた。 CL(L/hr)= 0.05 # Cc(r mL/min)[Ccr が 85 mL/min 以下の場合] CL(L/hr)= 3.5[Ccr が 85 mL/min より大きい場合] Vd(L)= 60.7 母集団薬物動態解析及びこの患者の投与量決定に関する記述のうち、正しいのは どれか。2つ選べ。
1
患者集団の平均的な薬物動態パラメータは、年齢、体重、Vd が同じ患者群を 母集団として解析することで得られる。
2
バンコマイシンのクリアランスは最小発育阻止濃度(MIC)により影響をうけ る。
3
この患者の投与量決定には分布容積 60.7 L とクリアランス 2.5 L/h を用いた。
✓ 正解
4
患者の 1 点の血中濃度測定値、患者情報、及び母集団パラメータとその変動要 因を用いて、ベイジアン法により患者個々の薬物動態パラメータが推定できる。
✓ 正解
5
母集団パラメータを求めるためには、集団ごとに血液採取時間を一定にする必 要がある。
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解説
- 1.✕「平均的な薬物動態パラメータは、年齢・体重・Vd が同じ患者群を母集団として解析することで得られる」母集団解析は多様な患者を含む集団から変動要因を解析するもので、同一群を用いるものではない。
- 2.✕「バンコマイシンのクリアランスは MIC により影響を受ける」MIC は細菌側の指標で、薬物クリアランスに影響しない。
- 5.✕「母集団パラメータを求めるには集団ごとに採血時間を一定にする必要がある」不定時採血(スパースデータ)でも解析できる。(※この患者では Vd 60.7 L とクリアランス 2.5 L/h〈=0.05×50〉を用い、ベイジアン法で個々のパラメータを推定できる)
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