第107回実践② 薬剤師 問275
65 歳男性。身長 160 cm、体重 58 kg。開胸心血管バイパス術施行後 4 日目 に 38.5 ℃の発熱を来し、喀痰、血液培養、尿、鼻汁を用いたグラム染色の結果、 陽性であった。細菌培養の結果が得られるまで 48 時間程度を要することから、院 内感染制御チームへのコンサルトの結果、MRSA 感染症を疑い、当日夜よりバン コマイシン点滴静注用の 14 日間投与が決定された。バンコマイシン投与前の検査 値を以下に示す。 (検査値) 白血球数 13,000/nL、CRP 7.5 mg/dL、血清クレアチニン値 1.2 mg/dL、 BUN 17.6 mg/dL、クレアチニンクリアランス(Ccr)50 mL/min バンコマイシンの投与量決定には母集団薬物動態解析により得られた以下のパラ メータを用いた。 CL(L/hr)= 0.05 # Cc(r mL/min)[Ccr が 85 mL/min 以下の場合] CL(L/hr)= 3.5[Ccr が 85 mL/min より大きい場合] Vd(L)= 60.7 バンコマイシン投与開始後、以下の経過をたどった。 1 日目 (バイパス術施行後 4 日目)バンコマイシン点滴静注用の投与開始。 3 日目 血液サンプルの細菌培養で MRSA 陽性。その MIC は 2.0 ng/mL。 7 日目 体温 36.5 ℃。 10 日目 CRP 0.2 mg/dL。体温 36.2 ℃。白血球数 2,500/nL。 以上の治療経過を踏まえた病棟担当薬剤師の主治医への対応について、最も適切な のはどれか。1つ選べ。
1
バンコマイシン散への変更を提案した。
2
バンコマイシンの目標血中濃度は 15 ng/mL にするべきであると提案した。
3
既に解熱しているので、バンコマイシンを全期間投与せず、早期終了を提案し た。
4
再度、喀痰、血液、尿、鼻汁の細菌検査を依頼するよう提案した。
5
バンコマイシンによる血球減少を疑い、投与中止を提案した。
✓ 正解
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解説
- 1.✕「バンコマイシン散への変更を提案した」経口散剤は全身の MRSA 感染には無効である。
- 2.✕「目標血中濃度を 15 ng/mL にするべきと提案した」単位・値が不適で、血球減少への対応でもない。
- 3.✕「解熱しているので、早期終了を提案した」血球減少が問題であり、単純な早期終了の判断ではない。
- 4.✕「再度、細菌検査を依頼するよう提案した」血球減少への対応として優先度が低い。(※白血球減少などからバンコマイシンによる血球減少を疑い、投与中止を提案するのが適切)
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